やぎさわ便り八木沢里志 公式サイト

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雨が上がった午後。
窓を開けると、物干し竿にびっしりと雨粒が並んでいた。
一粒ずつ、律儀に間隔をあけているのがなんだか可笑しくて、指でそっとなぞってみた。

雨粒は、静かに、まるで決意したみたいに地面に落ちていく。
手には、かすかな冷たさと、何かに触れたときのような感触が残る。
ただの雨粒なのに、ちゃんと「触れた」と思えるから不思議だ。

洗濯物も干していない、音楽もかけていない午後。
とても静かで、心が満たされた午後。
理由はない。理由はないけれど、満たされているのって一番幸せだ。
手のひらの温度で、この午後の美しさがちゃんとわかる気がした。

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