やぎさわ便り八木沢里志 公式サイト

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掃除機をかけていたら、家具の脚に足の小指を思いきりぶつけた。

それはもう、爪先でもなく、指の側面でもなく、小指にクリティカルヒット。
一番ぶつけたくない場所である。
痛みが数秒後にじわじわと膨らんできて、それと一緒に、イライラがふっと、湯気のように立ちのぼった。

もちろん誰も悪くない。
それでも、一瞬「ムッ」とする。
おそらく、人間の感情ってこういうときに“野生”が出るのだと思う。
かつては人類は、外敵の攻撃=即・危険、という世界で生きていた。
だから、「攻撃されたらまず怒れ!」という本能が、今もまだどこかにあって、
小さな家具の角ごときにも発動してしまう。そう、これって本能が反応してるんだよね。

そう考えたら、少し笑えてきた。

「本能さん、ここには気を抜くと命がなくなるような危険はないのだよ」
と、自分の心に言いながら、静かに掃除機を再開する。

するともう、イライラはどこかへ行っていた。

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