やぎさわ便り八木沢里志 公式サイト

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ジウと朝の散歩に出た。
うちのジウは猫なのに、犬みたいにリードをつけて歩く。正確には「つきあってくれている」感じだけど。

朝って、僕はなぜか少し気が立っていることが多い。
今日もたぶん、ちょっと尖っていた。
多分、通勤通学を急ぐ人たちや殺気だった荒っぽい車の運転、そんなものの空気を感じ取ってしまうのだろう。
昔から周囲の空気に敏感なのは、困った体質。

そこへ、近所のおばさん。トイプードルのお散歩をする顔馴染みで、ジウちゃんファンの方。
にこにこしながら、ジウを見て話しかけてきた。

「今日もジウちゃん、元気ねえ!お散歩できてえらいね。うちの子にも挨拶してくれてありがと!」

ジウは、えらくもなんともない顔で、トイプードルの鼻先に自分の鼻をつけてご挨拶。
でも、おばあさんの言葉がふわっと空気に混ざって、
さっきまで立っていた自分の「朝の角」が、少しだけ丸くなるのがわかった。

なんだろうなあ。
挨拶でも、立ち話でもなく、“ただの善意”って、すごく効く。

「ではまたね」とおばさんが言ったあと、ジウは一歩も動かずにその方向を見送っていた。
朝の角を、丸くする偉大なひとを、僕とジウはそうして見送った。

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