やぎさわ便り八木沢里志 公式サイト

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朝、豆を挽こうとして、派手にキッチンにぶちまけた。
まあ、僕にはよくあることなので、妻は驚きもしないけど。

黒い粒が床の上でコロコロ転がり、
まるで小さな反乱軍のように散っていく。

掃除機を持ってくる途中、なぜか笑いが込み上げてきた。
豆が転がる音って、意外と軽やかだと思った。
こっちは慌ててるのに、豆は楽しそうに逃げていく。

ようやく全部拾って、数粒を捨てる前に、
「お前たち、いい香りじゃないか」と声をかけた。
気のせいか、ほのかに返事をされたような気がした。

やっと淹れたコーヒーを飲みながら、
「こぼす」と「こぼれる」は全然違う言葉だなと思う。
前者には焦り、後者には自然がある。
今日のは完全に「こぼれる日」だった。
まあ、そんな日もある。いい香りだったし。

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