最近は小説以外では脳の仕組みについての本にはまっていて、よく読んでいます。
ちょっと前、『退屈すれば脳はひらめく』(マヌーシュ・ゾモロディ著、NHK出版)という本を読みました。これはスマホが当たり前になった現代でスマホを手放して、退屈な時間を過ごすことがいかに大事かと語った本。
脳は退屈している時、デフォルトモード・ネットワークという状態になるのだけど、この時に脳は情報の処理を行ったり記憶の定着をするのだそう。
同時に、そうして脳があちこちに思考をさまようことで、アイディアをひらめくのだという。そのため、デフォルトモード・ネットワークは「ひらめき脳」とも呼ばられることがあるそうです。お風呂に入っていたり散歩していたりカフェでぼんやりしている時に、アイディアがパッとひらめくのは、脳が退屈してこのモードに入っているから。
ところが、スマホが普及してから人間はこの退屈という時間を持てなくなってしまった。持てなくなったどころか、それが苦痛にさえなってしまった。なぜなら、隙間時間があったらその時間にスマホを見ればいいから。スマホが人間を依存させるためにありとあらゆる計算をされて作られているのは、よくいろんなところで報道されている通り。
なので、創造性を得てクリエイティブに生きるためにも、スマホを見る頻度を減らそう、かつて当たり前にあった退屈な時間を取り戻そう、と呼びかけているのがこの本。大変興味深かったです。
僕個人は、割と退屈するのが得意な方だと思います。子供の頃はそうして退屈な時にあれこれ空想して、1人で物語を作るのが好きでした。そもそもスマホやネットをそこまで使用しない方だと思うし。
それでも、スマホやネットが当たり前になってから、確実に前よりも退屈する時間は減りました。スマホやネットがあまりに便利すぎて、ぼーっとしていても、「あ、あれってどうだっけ」とつい調べ物をしてしまったり、「あれ買っておかないと!」とネットショッピングしたりすることが増えました。
前からこの癖が自分の創作活動にあまりよい影響を与えていないなとなんとなく思っていたのだけど、この本を読んでいろいろ腑に落ちました。そうか、もっと退屈した方がいいんだな、と。
そう、この本を読んで思ったのは、もはや退屈することって自分で意識的にしていかないと、なかなかできないことになりつつあるんですよね。世の中は便利になったけれど、退屈してアイディアが生まれる時間を奪ってしまったわけで、それはものづくりをする人間として、やはり大問題です。
というわけで、今後はもっともっと退屈していこうと思った次第です。今の世の中って、退屈しているのが悪いという風潮が蔓延していて、ちょっとぼんやりしていると笑われたり、奇妙に思われたりしちゃうことがありますね。
でも、本来人間に必要な時間なんですよ。というわけで、誰がなんと言おうとそんなのは気にせず、強い意志でもっと退屈していこうではないですか!