やぎさわ便り八木沢里志 公式サイト

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深夜、のどが渇いて冷蔵庫を開けたら、
なぜかドアが閉まらない。
寝ぼけているので、何度もガコガコやってしまった。
それでも全然閉まらない。
仕方なく中を丁寧に見ると、ドレッシングがやけに斜めに置かれている。

一ミリ動かしてみる。
パタン。あっけなく閉まった。

たったそれだけのことなのに、
「人生ってこういうことかも」とか思ってしまう。
あるいは、小説を書くということも。
少しの角度がずれてるだけで、うまく閉まらない。
心のドアも、似たようなものかもしれない。
丁寧に見て、ちょっとだけ直せばいいのに、それが難しい。

冷たい空気が逃げる前に、そっとドアを押さえて、
「おやすみ」とつぶやき、ベッドへ消えましたとさ。

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