やぎさわ便り八木沢里志 公式サイト

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昨日も映画の話を熱く語っておいてなんだけれど、今度はプライムビデオの配信ですごくいい映画を観ました。

タイトルは「マイ・オールド・アス ~2人のワタシ~」。昨日の「I Like Movies」と同じくカナダ映画。ただの偶然かもしれないけれど、最近はカナダ映画が熱いんでしょうか。この映画も素晴らしかったです。

ストーリーは、18歳でもうすぐ大学への進学を控えた自由奔放な少女エリオットが友人たちとマジックマッシュルームをやってラリっている際に39歳の自分と会う。その中年の自分からいろいろアドバイスを受けたエリオットは、家族を蔑ろにしてきたことや地元への愛に改めて気づき、そして心から愛せる大切な人との出会いを経て、大人への成長していく……という感じでしょうか。

いきなりマジックマッシュルームでラリって……というはちゃめちゃな展開だったので、どうなるかと思えば、その先は胸が熱くなる、そしてとても美しい青春映画に仕上がっていました。

18歳。何もかも新鮮で、だからこそ家族や田舎の地元などはただ鬱陶しいだけにしか思えない。けれど年をとると、家族との何気ない日々や見飽きていた景色が恋しくてたまらなくなる……。そういうものですよね。それがストレートに描かれていて、「ああ、わかるなあ」と思ってしまいました。

エリオットは大人の自分と会ったことで、自分がいかに家族に薄情な態度をとっていたことに気づく。そのときの少女と大人のエリオットの会話がいいです。

「私、家族を大事にせず、すごいクズだったよね」

「気にしなくていい。18歳っていうのはね、みんな、クズなのよ」

ああ、いいですね。胸のあたりをつんつんと突かれるような、ほろ苦い台詞。こういうのがあるだけで、観てよかったなあと思います。

この話はそれだけでは終わらずに、愛することの喜びや苦しさ、切なさをエリオットが知る方向へと進んでいきます。エリオットが大人の自分から聞いて知ってしまった、ある重大な秘密。それを知ったうえで彼女が下す決断が、すごくいい。涙が出ました。この後半のシーンだけでも、自分はきっと何度でも観直してしまう気がします。

やっぱり映画っていいなあと思うのです。まるきり昨日と同じこと言ってるけど。

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