やぎさわ便り八木沢里志 公式サイト

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今朝もとっても寒かったです。ジウと散歩に行ったものの、ジウも寒がってすぐに家に帰ってしまいました。

普段、ジウは犬みたいには家に自分から帰ってくれないいので、途中で僕が抱っこして連れて帰るのだけど、その気になれば自力で家に帰れるのがわかった朝でありました。普段から自発的に家に帰ってほしいものですが。

こんな寒い日は、外出せずにぬくぬくとあたたかい家で読書に限ります。

というわけで、最近はイギリスの作家、ニック・ホーンビィの作品を続けて読んでいます。

大晦日の夜に自殺するために屋上に行って鉢合わせてしまった4人の間に生まれる奇妙な絆を描いた『ア・ロングウェイ・ダウン』。

破綻した夫婦生活を送っていたはずが、妻が離婚したいと切り出したことから、なぜか皮肉屋の夫が加速度的にいい人になってしまう家族の混乱を描いた『いい人になる方法』。

父親の印税で暮らす働かない主義の中年男・ウィルと、家庭にも学校にもトラブルを抱えている12歳の少年マーカスがあるきっかけでおかしな交流が生まれる『アバウト・ア・ボーイ』。

どれもとっても面白いけれど、一番好きなのは映画が日本でも大ヒットした『アバウト・ア・ボーイ』でしょうか。

ニック・ホーンビィの魅力はなんと言っても、その会話のセンスじゃないかと個人的には思っています。登場人物たちが一癖も二癖もある人たちなのに、「ひどいやっちゃなあ」なんて笑いながら読んでいるうちに、どんどん憎めなくなってくる。もちろん翻訳者の腕がいいのもあるのでしょうが、とにかく軽妙に続く会話の応酬がとても楽しいです。

『アバウト・ア・ボーイ』は20年前にも一度読んだのだけど、その魅力は今もちっとも変わらなかったです。勢いづいて映画版も観たのだけど、キザ男・ウィルを演じているヒュー・グラントが流行り役すぎて、どこから見てもウィルにしか見えないという。

この作品は原作と映画で結末部分が大きく変わるんですよね。20年前は原作の展開がどうにも地味に思えて映画版のしっかりカタルシスのある展開が好きだったのだけど、今回は映画はどうもわかりやすすぎて原作の展開の方がいいなあと思ったのでした。人間の好みって、20年で変わるものですね。

ニック・ホーンビィの本は翻訳本はあらかた読んでしまいました。まだ未訳の作品もあるので、もっと日本語版が出るといいなあと願いをこめつつ。

さて、次は何を読もう。寒い冬は読書がはかどりますな。

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